ことのはカフェ

カフェに纏わる由なしごとをそこはかとなく綴ります。

ひさしぶりに聞きました

夏の暑さにも負けず、ネルドリップで丁寧に淹れたまろやかな熱いコーヒーを味わっていたときのことです。
『コーヒーフロート、ちょうだい』という年配の女性の声が聞こえてきました。

コーヒーフロート、久しぶりに聞く言葉でした。アイスコーヒーの上に浮かんだ、まるいアイスクリームを想像して、ほんの一瞬だけ涼しくなります。

ふと、今の若い人は『コーヒーフロート』なる飲み物を知らないのではないか?と思いました。最近のお洒落なカフェのメニューにはイタリア料理由来の商品名が多いですよね。改めて、どの外国の言葉もすんなりと日本語の仲間にしてしまう片仮名の威力を感じます。


スタッフさんが申し訳なさそうに、コーヒーフロートはありません、ということを説明しています。そうか、ないのか。このお店もあまり客層が若くはありませんが、昭和時代の喫茶店にはたいていメニューに載っていた飲み物でも、意外とないものですね。

コーヒーフロートと一緒に思い浮かぶのは、クリームソーダミルクセーキ、アーモンドオーレ、などなど。この名前も最近は目にしなくなったような気がします。チェック柄のベストに蝶ネクタイを身につけた、白髪のマスターのいるようなお店でしか出会えないのかもしれません。


よく、暑いときには熱いものをいただくのがよいといいますが、コーヒーフロートのひんやりとした様子を思い浮かべた後ではそんな言葉が吹き飛ばされてしまいそうです。


暑さも、もう少し続きそうですね。冷たい飲み物なども適度に楽しみながら、乗り越えていきたいですね。