ことのはカフェ

カフェに纏わる由なしごとをそこはかとなく綴ります。

想像上のお店

先日、あちらこちらのカフェのメニューを検索していたら『ことのはカフェ』という名前の喫茶店をいくつか発見して驚きました。

行ってみたことはないのですが、同じお名前になんだか親近感がわいてきます。

『ことのは』と言うからには、何か言葉というものに思い入れがあって付けたお名前なのでしょうか。

たとえば、短歌や俳句が好きなひとたちが集うカフェであったり、色々な国の留学生のための交流の場所として解放されていたり、などとそのお店独自のテーマがあるのかもしれませんね。

茶店という場所になにか『飲食以外の目的』があったとしたら、魅力が何倍にも膨れ上がるような気がしています。


日頃、コーヒーを楽しみながら『こんなカフェがあったら…』と、想像しているイメージがあるのですが、今回はそれをスケッチしてみようと思います。


そのカフェは元は、お蕎麦屋さんでした。
そのお店のお嬢さんが後を継ぐ時に、喫茶店に変えたのです。
お嬢さんはお父さんの打つお蕎麦がとても好きでした。なので、お父さんを超えることのできないお蕎麦を無理に続けるよりも、と思ってお父さんが仕事の合間の楽しみにしていたコーヒーを出すお店を始めることにしました。お嬢さんの腕前は、なかなかのものだったのです。

茶店の上は住居になっていて、若い二つ目の落語家さんが居候をしています。毎週、下のカフェで落語会を開いて、お客さんと直接ふれあいます。徐々に、ではありますが、落語目当てのお客さんも増えてきている様子です。

お客さんは人気メニューの『蕎麦粉のおだんご』をお茶請けに、コーヒーを味わいながら落語に耳を傾けます。

蕎麦屋さんだった名残を感じさせるこのメニューは自家製のあんこもコーヒーによく合う、とおみやげにもよく利用されています。


と、お湯を注いだコーヒー豆がふっくらと膨らむように勝手な想像も膨らみます。

落語には、ぼんやりと楽しい想像の世界に浸って小言をいわれる若旦那がよく登場しますが、落語の中の登場人物で一番親しみを感じます。似たもの同士、ということなのかもしれないと思っています。