ことのはカフェ

カフェに纏わる由なしごとをそこはかとなく綴ります。

ティピカちゃんねる 20

皆様、ごきげんよう。ティピカです。雪がちらつくこの頃ですが、どうかお風邪などひきませんよう、お気をつけくださいませ。寒い日には鍋料理なんかもいいですね。おや、ティピカは猫舌じゃないの? 猫は熱いものは食べないでしょ? という声が聞こえてきそうですので解説を。

 

わが家では、ジュンコ用と私用の2種類の鍋が用意されます。きのうはジュンコの好きな鱈の鍋でした。鍋料理の名脇役と言えば、あの葱くんですが、私たち猫は食べられません。なので、私のお皿には登場しません。きのこと白菜は私も好きなので、混ぜてもらいます。

 

そして、ジュンコが美味しそうに食べている『しらたき』も私のお皿にはありません。あのゆらゆらとした様子を眺めているのは楽しいのですが、どうやら猫のお腹にとっては楽しいものではないらしいのです。

 

お鍋が煮えるのを待ちながら、ジュンコは猫のラベルのついた小さなワインの瓶を開けます。ラベルの中の猫は、この辺のボス猫トラゾウくんよりも強そうですよ。お鍋が煮えたらジュンコは出来たてのところを、私はほどよい温度になったところをいただきます。このようにして、私たちは同じ料理を一緒に食べているのです。

 

 

『ティピカはワインは飲まないの?』

ルリコさんが私の頭を撫でながら、聞いてきます。

『ニャーン』飲みませんねぇ。ジュンコは私にすすめようともしませんよ。私だって意外といけるクチかもしれませんよね?

『ふふふ』

ルリコさんは私の言葉がわかっているかのように笑いました。

 

ルリコさんのきのうの晩ごはんは鯖の味噌煮だったそうです。生姜ではなく、梅干しを入れて、鯖の臭みを取るのだと言います。

『そうすると臭いも取れて、まろやかに仕上がるのよ』

『え、梅干し? 酸味はつかないの?』

『つかないのよ。不思議なことに』

『今度、私も真似してみるわ』

とジュンコ。ルリコさんは頷くと、マドレーヌをふわりと手で割って、口に運びました。

 

『私ね、鯖の味噌煮を赤ワインの友にするのよ。生姜を使うお料理には、白ワインを合わせる方が好きだわ』

ルリコさんとジュンコは食べ物の好みが似ていて、ルリコさんのお気に入りはたいていジュンコにも合うようです。あんこにコーヒーを合わせるのも、2人共通の好みです。ジュンコも寒い日には、味噌をよく使いますね。体を温める効果があるのだ、と言っています。

 

私は体を温めるのにオトーチャンから貰った柔らかいカシミアのマフラーを愛用しています。オトーチャンの匂いがして安心できるのも、よいところです。だけど、炬燵というものにも憧れますね。あの中はきっと南国のようなあたたかさなのでしょう。あの中で、手足を広げてバカンス気分を味わいたいですね。サングラスもあると、雰囲気が上がりそうです。ジュンコに炬燵を買わせる方法を考えながら、私はちょっとだけ寝ることにしましょう。