ことのはカフェ

カフェに纏わる由なしごとをそこはかとなく綴ります。

ほどほどがよいこと

最近は喫茶店でも禁煙や分煙のお店が増えていますね。愛煙家の中には
『喫茶店の喫は喫煙のことなのに、禁煙はおかしいのではないか』
と語気を荒げている方もいらっしゃるようです。

お気持ちはよくわかりますが、この『喫茶』という言葉は鎌倉時代から使われ始めたようで、元の意味にはお茶の効用を嗜むということが含まれていたそうです。なので、喫茶店の喫は煙草のことをあらわしているわけでもないようです。


今までにお会いした愛煙家の方たちは、圧倒的にコーヒー党が多く、煙草が好きで紅茶も好きだ、という方は知人の中には1人もいません。
そして、皆さん煙草を楽しむ所作にそれぞれの特徴があって、その様子を眺めるのもお茶をご一緒する楽しみの1つになっています。

前職の上司だった方は、仕事帰りによく喫茶店に連れて行ってくださったのですが、煙草の灰を灰皿の隅に寄せて纏めながら吸う癖がありました。灰皿の中では灰と吸い殻がきれいに仕分けされた状態になっています。お仕事でもとても几帳面な方でした。

ある仲のよいお2人は煙草の銘柄もお揃いで、同じ煙草をおいしそうに吸うところを見ていたら、それだけでも嬉しい気持ちになります。

同じ会社でお仕事をしている知人の2人は、片方が灰皿を使っている間は煙草をひと休みして、相手が吸い終わると自分が吸う、という方法で喫茶店の小さな灰皿を快適に使っていました。お仕事のときのチームワークの良さを垣間見た思いがしました。

健康に気をつけるためには煙草もほどほどがよいのかもしれませんが、煙草との付き合い方にはその人の個性が強くあらわれているように思います。

禁煙や分煙も必要な場合もたくさんあるでしょうけれど、まわりにいる愛煙家たちのことを思うと禁煙や分煙の基準がゆるやかな喫茶店も残っていて欲しいような気がすることもあります。