ことのはカフェ

カフェに纏わる由なしごとをそこはかとなく綴ります。

もしかするとの話

茶店を仕事部屋のように使う小説家は、古今東西たくさんいました。出版社との打ち合わせをしたり、執筆作業に使ったりと。なので、出版社の近くには自然と喫茶店が多く集まったようですね。

お店によっては、ほぼ常連さんが中心のところもあるのでしょうけれど、客層が広いお店だとそこに集まる人を見ているだけでも新しい物語が生まれてきそうな気がします。

夏目漱石の『彼岸過迄』の中にも男女ふたり連れを尾行させて、間柄を推測させる箇所がありますが、見知らぬ人たちは物語をつくるための頼もしい協力者になってくれそうです。

美味しそうなパフェが運ばれる先は、親子連れの席なのか、それともグレーのスーツ姿のビジネスマンの席なのか。

コーヒーを片手に、本を読んでいる外国の方は観光客なのか、それとも日本生まれの日本育ちなのか。

窓側の席に座って受験勉強をしていた女の子。
きっと、今頃は『サクラサク』の便りを手にして新しい学校生活を始めていることでしょう。
恋愛小説になるか、推理小説になるかはそれぞれの作家のお好み次第です。


もしかすると、あの文豪のあの名作も喫茶店で誕生したのかもしれない。そう思うと、ますます喫茶店が好きになりますね。

コーヒーを飲みながら、そんな想像をしてみました。