ことのはカフェ

カフェに纏わる由なしごとをそこはかとなく綴ります。

変わらないもの

浮世絵が好きで、ときどき画集などを眺めます。
題材は数多あるにもかかわらず、茶店を描いたものに出会うと嬉しくなります。

茶店は現代の喫茶店といえますよね。喫茶店でホッと一息つくのはいつの時代も一緒なのだなぁ。遠い時代の人たちに、親近感がわいてきます。

それにしても…看板娘の髪のひとすじ、食器を持つお客の指先、楽しそうな表情、これがすべて分担作業による版画だというのですから、驚きます。

原画を描くひと、板に彫るひと、色をのせて刷るひと。それぞれの職人さんの息がぴたりと合わないとなりたたない、というところに畏敬の念を感じます。絵の中の白玉だんごが、やたらと涼やかに美味しそうに見えるのも納得です。

作家の高橋克彦さんのお言葉を借りると浮世絵は『職人たちの分業によって作られ、華麗な花を咲かせた庶民の芸術』だということです。

何だか、現代のアニメーションに通じているような気がします。原作があり、たくさんの人の分業によって、またひとつの作品に仕上がる。

時代が変わっても、変わらないものはかわらないのですよね。職人さんのお仕事、ずっとずっと、たいせつにされ続けてほしいです。

そして、勿論お仕事のあとの喫茶店でのくつろぎの時間も、ですね。