ことのはカフェ

カフェに纏わる由なしごとをそこはかとなく綴ります。

お出汁とコーヒー

茶店の定番メニューの1つに『ナポリタン』がありますね。ピーマンと玉葱が何ともよい仕事をしてくれていて、お野菜の底力をしみじみと感じます。

ピーマンの緑と玉葱の白、それにケチャップの赤、とイタリアの国旗を背負っているかのような見た目にもかかわらず、イタリア生まれではなくて日本生まれなのですよね。

イタリアでは、それぞれの家庭にそれぞれのトマトソースがあるという話を聞いたことがあります。家庭ごとにお味が違うのだそうですね。

その話を聞いて『日本の家庭にとってのお味噌汁みたいだな』と思いました。
お味噌汁もお出汁と具の組み合わせで限りない拡がりを楽しむことができますよね。

最近、気に入っているのは『水だし』です。
鰹、煮干し、昆布などを水に浸して冷蔵庫に入れておきます。お出汁は材料ごとに火加減を調整するのがたいへんですが、水だしだと灰汁も出ないので、お料理が得意ではなくても気軽に美味しいお味噌汁をいただけます。


茶店でもよく『水出し珈琲』というメニューを見かけるようになりました。お店によっては背の高い水出し専用のドリッパーを置いてあるところもありますね。一滴ずつゆっくりと珈琲が出来てくる様子を眺めるのも楽しいです。

お味噌汁のお出汁といい、珈琲といい、雑味のないものを作ろうとするなら、あまり余分な手をかけ過ぎずにゆっくりと待つことがたいせつなのかもしれませんね。そして、このことはお料理だけに限ったことではないのでは、という気がしています。


もう少し気温が上がってきたら、水出し専用のドリッパーがあるお店に行ってきりりと冷えた水出し珈琲をいただいてきたいです。美味しいナポリタンも一緒だと、陽気なイタリアの人たちと同じぐらい晴れやかな笑顔になれそうです。