ことのはカフェ

カフェに纏わる由なしごとをそこはかとなく綴ります。

匙加減ひとつで

色付き始めた銀杏のような黄色の絵の具に、ほんの少し赤い絵の具を混ぜると、美味しそうなかぼちゃの色があらわれます。もう少し赤の絵の具を増やすと、かぼちゃの色はお醤油でほっこりと煮付けた色に変わります。

どうしても、食欲の秋が最優先になってしまいますね。今夜のおかずはかぼちゃの煮物に決定です。

さらに赤い絵の具を足すと、紅葉のような色に。街路樹の葉っぱがこの色に変わり始めるとだんだん外出が億劫になってきます。

働きもののアリさんならば、今のうちからお気に入りの喫茶店のコーヒー豆をこまめに買い込んで冷凍保存などしておくのかもしれませんが、キリギリスはこの場合『お取り寄せ』という手段に出ます。

せっかくなので、普段は行くことのないお店のお豆を試してみようと思いました。
その中で特に『おかわりしたい』と思ったのは次の3種類です。


小樽の老舗のクラシックブレンド

札幌郊外の新しいお店のフレンチブレンド

京都の老舗のプレミアムブレンド


どれも深煎りの同じような種類のお豆を使ったブレンドで、コロンビアは必ず入っているようです。
なのに、お店ごとに随分と味わいが違っています。

ほんの数種類のものでも割合を変えただけで、幾通りもの表情をあらわすことができるのだから、不思議です。職人さんおひとりずつの個性の賜物なのですよね。

そのコーヒーを頂いていると『もしかしたら、こんな方たちがブレンドしていらっしゃるのでは?』と、職人さん達のイメージが勝手に浮かび上がってきました。

ご本人たちがご覧になったら苦笑いされるかもしれませんが…。

小樽、焙煎の度合いが絶妙です。焦げ臭さを全く感じさせない苦みがとても気に入りました。先代からしっかりとバトンを受け取った生真面目そうなお顔が浮かびました。

札幌、はなやかな強い香りが印象的です。キャップのつばを後ろにしてかぶり、金髪でピアスをした若い職人さんの一生懸命な姿を想像しました。

京都、他の2つのお店のものよりも軽やかなお味がします。よく、京都の人は『新し物好き』だと言われていますが、なるほどと思いました。常連さんを相手に冗談を言って笑っている白髪混じりの眼鏡の職人さんのイメージが浮かびました。


札幌、小樽、京都を1日で回るのはちょっと難しいですが、お取り寄せならば1日にいくつもの街のコーヒーを味わうことができますね。キリギリスの考え方も悪くないかもしれません。

でも、いつかは職人さん達の本当のお顔を見にお店にも行きたいです。勝手に想像した職人さんたちとどのくらい似ているでしょうか?


コーヒーを堪能したら、晩ごはんの準備にかかりましょう。今夜のかぼちゃの煮物は匙加減をたいせつに、お醤油をきかせたお味付にしようと思います。